【絶対わかる】2階線形微分方程式の非同次形③ ~重ね合わせの原理~

今回の記事では2階線形微分方程式の非同次形の重ね合わせの原理について解説していきます。2階線形微分方程式の非同次形①、②の知識を使うので忘れている方は以下の記事を参照してください。

目次

重ね合わせの原理

2階線形微分方程式の非同次形を重ね合わせの原理を使って解くことができます。以下のような性質を重ね合わせの原理をいいます。

重ね合わせの原理

$\frac{d^2 y}{dx^2}+P(x)\frac{dy}{dx}+Q(x)y=R(x)$の特殊解$Y(x)$は

$R(x)=R_1(x)+R_2(x)$として、2つの非同次方程式

$$\frac{d^2 y}{dx^2}+P(x)\frac{dy}{dx}+Q(x)y=R_1(x)$$

$$\frac{d^2 y}{dx^2}+P(x)\frac{dy}{dx}+Q(x)y=R_2(x)$$

の特殊解がそれぞれ$Y_1(x),Y_2(x)$のとき

$$Y(x)=Y_1(x)+Y_2(x)$$

つまり$R(x)$が複数の項を持ち複雑であるとき、与式を分けることで特殊解を求めることができるというとても便利な性質です。

重ね合わせの原理を用いた非同次形の解き方

2階線形微分方程式の非同次形は重ね合わせの原理を利用することで、以下の4STEPで解くことができます。

4STEP
STEP
与式を$R(x)=0$として同次方程式の特性方程式を考える

与式を$R(x)=0$として同次方程式の特性方程式を考えることで、余関数を求めます。

STEP
与式を分ける

与式を分けることで、複雑な$R(x)$を単純なものにします。

STEP
分けたそれぞれの式の特殊解を求める

それぞれ2階線形微分方程式の非同次形の特殊解$Y_1,Y_2$を求めます。このときの特殊解を求める方法は、未定係数法がおすすめです。重ね合わせの原理より、$Y(x)=Y_1(x)+Y_2(x)$なので、与式の特殊解を求めることができます。

STEP
一般解を求める

余関数と特殊解の和が一般解なことを利用して求めます。

この4STEPを使って例題にチャレンジしてみましょう。

【例題(1)】$y^{\prime\prime}+5y’-6y=x^2+\cos{2x}$を解け

$R(x)$が複雑であるため重ね合わせの原理を利用します。まずは2階線形微分方程式の同次形の一般解$y_c (x)$を特性方程式を利用することで求めていきます。与式の$R(x)$を$R(x)=0$として、$y^{\prime\prime}+5y’-6y=0$として特性方程式を考えます。特性方程式は$t^2+5t-6=0$より

$$(t-1)(t+6)=0$$

$$t=1,-6$$

よって異なる2つの実数解をもつので、与式の余関数は

$$y_c (x)=C_1 e^x+C_2 e^{-6x}$$

次は特殊解$Y(x)$を求めていきます。ここで与式を分けます。

[1]$y^{\prime\prime}+5y’-6y=x^2$

[2]$y^{\prime\prime}+5y’-6y=\cos{2x}$

それぞれ特殊解を求めていきます。

[1]の式について

$R(x)$がxの2次の多項式で特性方程式が$0$を解に持たないので、特殊解を$Y_1(x)=Ax^2+Bx+C$とおきます。すると、$Y_1’=2Ax+B$,$Y_1^{\prime\prime}=2A$となります。これらを与式に代入します。

$$2A+5(2Ax+B)-6(Ax^2+Bx+C)=x^2+2x$$

$$-6Ax^2 +(10A-6B)x+(2A+5B-6C)=x^2 $$

ここで両辺の係数を比較することによって

$$-6A=1,10A-6B=0,2A+5B-6C=0$$

$$A=-\frac{1}{6},B=-\frac{5}{18},C=-\frac{31}{108}$$

したがって特殊解は

$$Y_1(x)=-\frac{1}{6}x^2 -\frac{5}{18} x -\frac{31}{108}$$

[2]の式について

$R(x)$が$\cos{ x}$で特性方程式が虚数解$ i$を持たないので、特殊解を$Y_2(x)=A\cos{2x}+B\sin{2x}$とおきます。すると、$Y_2’=-2A\sin{2x}+2B\cos{2x}$,$Y_2^{\prime\prime}=-4A\cos{x}-4B\sin{x}$となります。これらを与式に代入します。

$$(-4A\cos{2x}-4B\sin{2x})+5(-2A\sin{2x}+2B\cos{2x})$$

$$+6(A\cos{2x}-B\sin{2x})=\cos{2x}$$

$$(-10A+10B)\cos{2x}+(-10A-10B)\sin{2x}=\cos{2x}$$

ここで両辺の係数を比較することによって

$$-10A+10B=1,-10A-10B=0$$

$$A=-\frac{1}{20},B=\frac{1}{20}$$

したがって特殊解は

$$Y_2(x)=-\frac{1}{20}\cos{2x}+\frac{1}{20}\sin{2x}$$

よって[1],[2]より与式の特殊解は

$$Y(x)=-\frac{1}{6}x^2 -\frac{5}{18} x -\frac{31}{108}-\frac{1}{20}\cos{2x}+\frac{1}{20}\sin{2x}$$

したがって求める一般解は

$$y=C_1 e^x+C_2 e^{-6x}-\frac{1}{6}x^2$$

$$ -\frac{5}{18} x -\frac{31}{108}-\frac{1}{20}\cos{2x}+\frac{1}{20}\sin{2x}$$

練習問題

練習問題にチャレンジしてみましょう。

$y^{\prime\prime}+4y=x+\cos{2x}$を解け

$R(x)$が複雑であるため重ね合わせの原理を利用します。まずは2階線形微分方程式の同次形の一般解$y_c (x)$を特性方程式を利用することで求めていきます。与式の$R(x)$を$R(x)=0$として、$y^{\prime\prime}+4y=0$として特性方程式を考えます。特性方程式は$t^2+4=0$より

$$ t=\pm 2i $$

よって虚数解をもつので、与式の余関数は

\begin{eqnarray} y_c (x)& &=e^{0} (C_1 \cos{2x}+C_2 \sin{2x})\\& &=C_1 \cos{2x}+C_2 \sin{2x} \end{eqnarray}

次は特殊解$Y(x)$を求めていきます。ここで与式を分けます。

[1]$y^{\prime\prime}+4y=x$

[2]$y^{\prime\prime}+4y=\cos{2x}$

それぞれ特殊解を求めていきます。

[1]の式について

$R(x)$がxの1次の多項式で特性方程式が$0$を解に持たないので、特殊解を$Y(x)=Ax+B$とおきます。すると、$Y’=A$,$Y^{\prime\prime}=0$となります。これらを与式に代入します。

$$4(Ax+B)=x$$

$$4Ax+4B=x $$

ここで両辺の係数を比較することによって

$$4A=1,4B=0$$

$$A=\frac{1}{4},B=0$$

したがって特殊解は

$$Y_1(x)=\frac{1}{4}x$$

[2]の式について

$R(x)$が$\cos{ 2x}$で特性方程式が虚数解$ 2i$を持つので、特殊解を$Y(x)=x(A\cos{x}+B\sin{x})$とおきます。すると、$Y’=(A+2Bx)\cos{2x}+(-2Ax+B)\sin{2x}$,$Y^{\prime\prime}=(-4Ax+4B)\cos{2x}+(-4A-4Bx)\sin{2x}$となります。これらを与式に代入します。

$$\{(-4Ax+4B)\cos{2x}+(-4A-4Bx)\sin{2x}\}$$

$$+4\{(A+2Bx)\cos{2x}+(-2Ax+B)\sin{2x}\}=\cos{2x}$$

$$(4B-1)\cos{2x}-4A\sin{2x}=\cos{x}$$

ここで両辺の係数を比較することによって

$$4B-1=0,-4A=0$$

$$A=0,B=\frac{1}{4}$$

したがって特殊解は

$$Y_2(x)=\frac{1}{4}x\sin{2x}$$

したがって求める一般解は

$$y=C_1 \cos{2x}+C_2 \sin{2x}+\frac{1}{4}x\sin{2x}$$

まとめ

今回のは重ね合わせの原理をについて解説しました。複雑な2階線形微分方程式の非同次形を解くのに必須の性質なので、しっかりマスターしておきましょう。

2階線形微分方程式の非同次形の重ね合わせの原理についての記事のサムネイルです。

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