【絶対わかる】n階(高階)線形微分方程式とは

今回の記事では定数係数のn階(高階)線形微分方程式について解説していきます。2階線形微分方程式の同次形と非同次形の知識を使うので、忘れている方は以下の記事を参照してください。

目次

n階線形微分方程式とは

次の形の微分方程式をn階線形微分方程式といいます。

n階線形微分方程式

$$y^{(n)}+P_1 (x)y^{(n-1)}+…$$

$$+P_{n-1}(x)y’+P_n (x)y=Q(x)$$

n階線形微分方程式は、2階線形微分方程式と同じようなやり方で解くことができます。このn階線形微分方程式において、$Q(x)=0$のときを同次微分方程式といい、$Q(x) \neq 0 $のときを非同次微分方程式といいます。

定数係数のn階線形微分方程式の同次形

定数係数のn階線形微分方程式の同次形は次のような形の微分方程式です。

定数係数のn階線形微分方程式の同次形

$$y^{(n)}+a_1 y^{(n-1)}+…$$

$$+a_{n-1}y’+a_n y=0$$

($a_1,…,a_n$は実定数)

特性方程式の3パターン

定数係数のn階線形微分方程式の同次形$y^{(n)}+a_1 (x)y^{(n-1)}+…+a_{n-1}(x)y’+a_n (x)y=0 \ (1)$において、2階線形微分方程式の同次形と同じように特性方程式を考えることで、一般解を求めることができます。このとき(1)の特性方程式は

$$t^{n}+a_1 t^{n-1}+…a_{n-1}t+a_{n}=0 \quad (2)$$

(1)の一般解は、(2)の結果によって3パターンに分けられます。

特性方程式の3パターン

[1]$ \ $特性方程式(2)の解がすべて異なるとき、(2)の解を$t_1,t_2,…t_n$とすると、(1)の一般解は

$$y=C_1 e^{t_1x}+C_2 e^{t_2 x}+…+C_n e^{t_n x}$$

[2]$ \ $特性方程式がn重解を持つとき、(2)の解を$t_1$(n重解)とすると、(1)の一般解は

$$y=(C_1+C_2 x+…C_n x^{n-1})e^{t_1 x}$$

[3]$ \ $特性方程式が虚数解のn重解を持つとき、(2)の解を$p \pm qi$とすると、(1)の一般解は

$$e^{px} \{(C_1+C_2 x+…C_n x^{n-1})\cos{x}$$

$$+(C_{n+1}+C_{n+2} x+…C_{2n} x^{n-1})\sin{x} \}$$

2階線形微分方程式の同次形の3パターンを覚えていれば、同じような感じでこの3パターンもできます。

定数係数のn階線形微分方程式の同次形の解き方

定数係数のn階線形微分方程式の同次形は、特性方程式を考えて3パターンのどれかに当てはめるだけで簡単に解くことができます。例題にチャレンジしてみましょう。

【例題(1)】$y^{(3)}+6y^{\prime\prime}+11y’+6y=0$の一般解を求めよ

まずは与式の特性方程式を考えます。特性方程式は$t^{(3)}+6t^{\prime\prime}+11t+6=0$より

$$(t+1)(t^{\prime\prime}+5t+6)=0$$

$$(t+1)(t+2)(t+3)=0$$

$$t=-1,-2,-3$$

よってすべて異なる解をもつので、与式の一般解は

$$y=C_1 e^{-x}+C_2 e^{-2x}+C_3 e^{-3x}$$

定数係数のn階線形微分方程式の非同次形

定数係数のn階線形微分方程式の非同次形は次のような形の微分方程式です。

定数係数のn階線形微分方程式の非同次形

$$y^{(n)}+a_1 y^{(n-1)}+…$$

$$+a_{n-1}y’+a_n y = Q(x)$$

ただし$Q(x) \neq 0$であり、$a_1,…,a_n$は実定数である

定数係数のn階線形微分方程式の非同次形の解き方

定数係数のn階線形微分方程式の非同次形は未定係数法を使うことで、定数係数の2階線形微分方程式の非同次形と同じようにして解くことができます。例題にチャレンジしてみましょう。

【例題(2)】$y^{(3)}-2y^{\prime\prime}-y’+2y=e^{-2x}$を解け

まずはn階線形微分方程式の同次形の一般解$y_c (x)$を特性方程式を利用することで求めていきます。与式の$Q(x)$を$Q(x)=0$として、$y^{(3)}-2y^{\prime\prime}-y’+2y=0$として特性方程式を考えます。特性方程式は$t^{(3)}-2y^{\prime\prime}-t+2=0$より

$$(t+1)(t-1)(t-2)=0$$

$$t=-1,1,2$$

よってすべて異なる解をもつので、与式の余関数は

$$ y_c (x)=C_1 e^{-x}+C_2 e^{x}+C_3 e^{2x} $$

次は特殊解$Y(x)$を求めていきます。$Q(x)$が$e^{-2x}$で特性方程式が$-2$を解に持たないので、特殊解を$Y(x)=Ae^{-2 x}$とおきます。すると、$Y’=2Ae^{-2x},Y^{\prime\prime}=4Ae^{-2x},y^{(3)}=-8Ae^{-2x}$となります。これらを与式に代入します。

$$-8Ae^{-2x}-8Ae^{-2x}+2Ae^{-2x}+2Ae^{-2x}=e^{-2x}$$

$$-12Ae^{-2x}=e^{-2x}$$

ここで両辺の係数を比較することによって

$$A=-\frac{1}{12}$$

したがって特殊解は

$$Y(x)=-\frac{1}{12}e^{-2t}$$

よって求める一般解は

$$y=C_1 e^{-x}+C_2 e^{x}+C_3 e^{2x}-\frac{1}{12}e^{-2t}$$

練習問題

練習問題にチャレンジしてみましょう。

(1)$y^{(3)}+3y^{\prime\prime}+3y’+y=0$の一般解を求めよ

まずは与式の特性方程式を考えます。特性方程式は$t^3+3t^2 +3t+1=0$より

$$(t+1)^3=0$$

よって$t=-1$(3重解)です。したがって3重解をもつので、与式の一般解は

$$y=(C_1 +C_2 x+C_3 x^2)e^{-x}$$

(2)$y^{(4)}+4y^{(3)}+8y^{\prime\prime}+8y’+4y=0$の一般解を求めよ

まずは与式の特性方程式を考えます。特性方程式は$t^4 +4t^3 +8t^2 +8t+4=0$より

$$(t^2+2t+2)^2=0$$

よって$t^2+2t+2=0$(2重解)です。これをさらに解くと、$t=-1 \pm i$(2重解)となります。したがって虚数解の2重解を持つので、与式の一般解は

$$y=\{(C_1+C_2 x )\cos{x}+(C_3+C_4 x)\sin{x}\}e^{-x}$$

(3)$y^{(3)}+y=x^3$を解け

まずはn階線形微分方程式の同次形の一般解$y_c (x)$を特性方程式を利用することで求めていきます。与式の$Q(x)$を$Q(x)=0$として、$y^{(3)}+y=0$として特性方程式を考えます。特性方程式は$t^3 +1=0$より

$$t^3 +1=0$$

$$(t+1)(t^2-t+1)=0$$

$$t=-1,\frac{1 \pm \sqrt{3}i}{2}$$

$$t=-1,\frac{1}{2} \pm \frac{\sqrt{3}i}{2}$$

よって与式の余関数は

$$ y_c (x)=C_1 e^{-x} +e^{\frac{x}{2}} (C_2 \cos{\frac{\sqrt{3}}{2}x}+C_3 \sin{ \frac{\sqrt{3}}{2}x}) $$

次は特殊解$Y(x)$を求めていきます。$Q(x)$がxの3次の多項式で特性方程式が$0$を解に持たないので、特殊解を$Y(x)=Ax^3 +Bx^2+Cx+D$とおきます。すると、$Y’=3Ax^2+2Bx+C$, $Y^{\prime\prime}=6Ax+2B$,$ Y^{(3)}=6A$となります。これらを与式に代入します。

$$6A+Ax^3+Bx^2+Cx+D=x^3$$

$$Ax^3 +Bx^2+Cx+(6A+D)=x^3$$

ここで両辺の係数を比較することによって

$$A=1,B=0,C=0,6A+D=0$$

$$A=1,B=0,C=0,D=-6$$

したがって特殊解は

$$Y(x)=x^3 -6$$

よって求める一般解は

$$y=C_1 e^{-x} +e^{\frac{x}{2}} (C_2 \cos{\frac{\sqrt{3}}{2}x}+C_3 \sin{ \frac{\sqrt{3}}{2}x})$$

$$+x^3 -6$$

まとめ

今回は定数係数のn階(高階)線形微分方程式について解説しました。2階線形微分方程式の基本ができていれば簡単に解くことができるので、しっかりマスターしておきましょう。

n階線形微分方程式についての記事のサムネイルです。

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