【絶対わかる】ラグランジアンの不定性とは

今回の記事ではラグランジアンの不定性について解説していきます。

目次

ラグランジアンの不定性とは

ラグランジアン$L(q(t),\dot{q}(t),t)$は一意的なものではなく、不定性(任意性)を持ちます。ラグランジアンの不定性については以下の通りです。

ラグランジアンの不定性

ラグランジアン$L(q(t),\dot{q}(t),t)$に対して、任意関数$G(q(t),t)$の時間についての全微分を加えて

$$\tilde{L}(q(t),\dot{q}(t),t)=L(q(t),\dot{q}(t),t)+\frac{d}{dt}G(q(t),t)$$

とした新しいラグランジアン$\tilde{L}(q(t),\dot{q}(t),t)$を考える。このとき$\tilde{L}$のオイラー・ラグランジュの方程式は、$L$のそれと同じになる。この時の$\tilde{L}$を等価ラグランジアンと呼ぶ。

ラグランジアンの不定性の確認

ラグランジアンが1つには定まらないことを、実際にオイラー・ラグランジュの方程式を求めることで確認してみます。

ラグランジアンを定数倍する

まずは任意関数$G(q(t),t)$を使わない簡単な例を考えてみます。

$$\tilde{L}(q(t),\dot{q}(t),t)=3L(q(t),\dot{q}(t),t)$$

とした$\tilde{L}$のオイラー・ラグランジュの方程式は、$L$のそれと同じになることを確かめてみましょう。

$L(q(t),\dot{q}(t),t)$のオイラーラグランジュ方程式は

$$\frac{\partial L}{\partial q_i}-\frac{d}{dt}\frac{\partial L}{\partial \dot {q_i}}=0$$

$\tilde{L}(q(t),\dot{q}(t),t)$のオイラーラグランジュ方程式は

$$\frac{\partial \tilde{L}}{\partial q_i}-\frac{d}{dt}\frac{\partial \tilde{L}}{\partial \dot {q_i}}=0$$

$$3\frac{\partial L}{\partial q_i}-3\frac{d}{dt}\frac{\partial L}{\partial \dot {q_i}}=0$$

$$\frac{\partial L}{\partial q_i}-\frac{d}{dt}\frac{\partial L}{\partial \dot {q_i}}=0$$

よって$L$と$\tilde{L}=3L$が等価であることが示せました。

ラグランジアンに任意関数$G(q(t),t)$の時間についての全微分を加える

さて、次はラグランジアンに任意関数$G(q(t),t)$の時間についての全微分を加えたものを考えてみます。

$$\tilde{L}(q(t),\dot{q}(t),t)=L(q(t),\dot{q}(t),t)+\frac{d}{dt}G(q(t),t)$$

とした$\tilde{L}$のオイラー・ラグランジュの方程式が、$L$のそれと同じになることを確かめてみましょう。

$L(q(t),\dot{q}(t),t)$のオイラーラグランジュ方程式は

$$\frac{\partial L}{\partial q_i}-\frac{d}{dt}\frac{\partial L}{\partial \dot {q_i}}=0$$

$\tilde{L}(q(t),\dot{q}(t),t)$のオイラーラグランジュ方程式は

$$\frac{\partial \tilde{L}}{\partial q_i}-\frac{d}{dt}\frac{\partial \tilde{L}}{\partial \dot {q_i}}=0$$

$$\frac{\partial L}{\partial q_i}+\frac{\partial }{\partial q_i}(\frac{d}{dt}G)-\frac{d}{dt}\frac{\partial L}{\partial \dot {q_i}}-\frac{d}{dt} \frac{\partial}{\partial \dot {q_i}}(\frac{d}{dt}G)=0$$

よって、$\tilde{L}$のオイラー・ラグランジュの方程式が、$L$のそれと同じになるためには

$$\frac{\partial }{\partial q_i}(\frac{d}{dt}G)-\frac{d}{dt} \frac{\partial}{\partial \dot {q_i}}(\frac{d}{dt}G)=0$$

が成り立てばいいとわかります。

$$\frac{\partial }{\partial q_i}(\frac{d}{dt}G)-\frac{d}{dt} \frac{\partial}{\partial \dot {q_i}}(\frac{d}{dt}G)$$

$$=\frac{\partial(\frac{dG}{dt})}{\partial q_i}-\frac{d}{dt} \{ \frac{\partial(\frac{dG}{dt})}{\partial \dot {q_i}} \}=0$$

よって$L$と$\tilde{L}(q(t),\dot{q}(t),t)=L(q(t),\dot{q}(t),t)+\frac{d}{dt}G(q(t),t)$が等価であることが示せました。

このようにラグランジアンは無数にあり、1つには定まらないことがわかります。

まとめ

今回はラグランジアンの不定性について解説しました。とても重要な性質なので、しっかり覚えておきましょう。

ラグランジアンの不定性の記事についてのサムネイルです。

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