今回の記事ではロンスキアン(ロンスキー行列式)について解説していきます。
ロンスキアン(ロンスキー行列式)とは
ロンスキアンとは、同次線形微分方程式$\frac{d^2 y}{dx^2}+P(x)\frac{dy}{dx}+Q(x)y=0$の解$y_1,y_2$において、$y_1,y_2$が1次独立な解であるかを判定するために利用される行列式$W(y_1,y_2)$です。この行列式は以下の通りです。
$$W(y_1,y_2)=\begin{vmatrix} y_1 & y_2\\y’_1 & y’_2 \end{vmatrix} $$
ロンスキアンと解の1次独立性
ロンスキアンを利用することで$y_1,y_2$が1次独立であるかどうかの判定は、以下の性質で表されます。
同次線形微分方程式
$$\frac{d^2 y}{dx^2}+P(x)\frac{dy}{dx}+Q(x)y=0$$
の解が、$y_1,y_2$であるとき
$W(y_1,y_2)=0$のとき$y_1,y_2$は1次従属であり
$W(y_1,y_2) \neq 0$のとき$y_1,y_2$は1次独立である
この性質を使って同次線形微分方程式の解の独立性を示してみましょう。
【例題(1)】$y^{\prime\prime}-5y’+6y=0$について、$y_1=e^{2x},y_2=e^{3x}$が1次独立な解であることを示せ
まずは$y_1=e^{2x},y_2=e^{3x}$が$y^{\prime\prime}-5y’+6y=0$の解であるかを確認します。
[1]$y_1=e^{2x}$
$y_1=e^{2x}$より、$y’_1=2e^{2x}$,$y^{\prime\prime}_1=4e^{2x}$
これらを与式に代入します。
\begin{eqnarray} y^{\prime\prime}-5y’+6y& &=4e^{2x}-5・2e^{2x}+6・e^{2x}\\& &=4e^{2x}-10e^{2x}+6e^{2x}=0 \end{eqnarray}
[2]$y_2=e^{3x}$
$y_2=e^{3x}$より、$y’_2=3e^{3x}$,$y^{\prime\prime}_2=9e^{3x}$
これらを与式に代入します。
\begin{eqnarray} y^{\prime\prime}-5y’+6y& &=9e^{3x}-5・3e^{3x}+6・e^{3x}\\& &=9e^{3x}-15e^{3x}+6e^{3x}=0 \end{eqnarray}
[1],[2]より$y_1=e^{2x},y_2=e^{3x}$は$y^{\prime\prime}-5y’+6y=0$の解であると示せました。
ここで$y_1,y_2$が1次独立であるかをロンスキー行列式を利用して示します。ロンスキー行列式$W(y_1,y_2)$は
\begin{eqnarray} W(y_1,y_2)& &=\begin{vmatrix} y_1 & y_2\\y’_1 & y’_2 \end{vmatrix}=\begin{vmatrix} e^{2x} & e^{3x}\\2e^{2x} & 3e^{3x} \end{vmatrix}\\& &=e^{2x}・3e^{3x}-e^{3x}・2e^{2x}\\& &=e^{5x} \neq 0 \end{eqnarray}
したがってロンスキアンの性質により、$y_1,y_2$が1次独立であると示せました。
練習問題
練習問題にチャレンジしてみましょう。
$y^{\prime\prime}-2y’+5y=0$について、$y_1=e^x\cos{2x},y_2=e^x\sin{2x}$が1次独立な解であることを示せ
まずは$y_1=e^{2x},y_2=e^{3x}$が$y^{\prime\prime}-2y’+5y=0$の解であるかを確認します。
[1]$y_1=e^x\cos{2x}$
$y_1=e^x\cos{2x}$より、$y’_1=e^x\cos{2x}-2e^x\sin{2x}$ ,$y^{\prime\prime}_1=-3e^x\cos{2x}-4e^x\sin{2x}$
これらを与式に代入します。
$$ y^{\prime\prime}-2y’+5y$$
$$=(-3e^x\cos{2x}-4e^x\sin{2x})-2(e^x\cos{2x}-2e^x\sin{2x})$$
$$+5(e^x\cos{2x})$$
$$=0$$
[2]$y_2=e^x\sin{2x}$
$y_2=e^x\sin{2x}$より、$y’_2=e^x\sin{2x}+2e^x\cos{2x}$,$y^{\prime\prime}_2=4e^x\cos{2x}-3e^x\sin{2x}$
これらを与式に代入します。
$$y^{\prime\prime}-2y’+5y$$
$$=(4e^x\cos{2x}-3e^x\sin{2x})-2(e^x\sin{2x}+2e^x\cos{2x})$$
$$+5(e^x\sin{2x})$$
$$=0$$
[1],[2]より$y_1=e^x\cos{2x},y_2=e^x\sin{2x}$は$y^{\prime\prime}-2y’+5y=0$の解であると示せました。
ここで$y_1,y_2$が1次独立であるかをロンスキー行列式を利用して示します。ロンスキー行列式$W(y_1,y_2)$は
$$ W(y_1,y_2)$$
$$=\begin{vmatrix} y_1 & y_2\\y’_1 & y’_2 \end{vmatrix}$$
$$= \begin{vmatrix} e^x\cos{2x} & e^x\sin{2x}\\-3e^x\cos{2x}-4e^x\sin{2x} & 4e^x\cos{2x}-3e^x\sin{2x} \end{vmatrix} $$
$$=(4e^{2x}\cos^2 {2x}-3e^{2x}\sin{2x}\cos{2x})$$
$$-(-3e^{2x}\sin{2x}\cos{2x}-4e^{2x}\sin^2 {2x})$$
$$=4e^{2x} (\sin^2 {2x}+\cos^2 {2x})$$
$$=4e^{2x}\neq 0 $$
したがってロンスキアンの性質により、$y_1,y_2$が1次独立であると示せました。
まとめ
今回はロンスキアン(ロンスキー行列式)について解説しました。とても重要な式なので、しっかり覚えておきましょう。