今回の記事では2階線形微分方程式の同次形について解説していきます。ロンスキアン(ロンスキー行列)の知識を使うので、忘れている方は以下の記事を参照してください。

2階線形微分方程式の同次形とは
まず2階線形微分方程式について述べておきます。次の形の微分方程式です。
$$\frac{d^2 y}{dx^2}+P(x)\frac{dy}{dx}+Q(x)y=R(x)$$
この2階線形微分方程式において$R(x)=0$のときを同次微分方程式といい、$R(x)\neq 0$のときを非同次微分方程式といいます。よって2階線形微分方程式の同次形とは次の形の微分方程式です。
$$\frac{d^2 y}{dx^2}+P(x)\frac{dy}{dx}+Q(x)y=0$$
2階線形微分方程式の同次形の性質
2階線形微分方程式の同次形について、重要な性質を述べておきます。
同次微分方程式の左辺を$L(y)$とすると、$y_1,y_2$が同次微分方程式$L(y)=0$の1次独立な解であるとき、$L(y)=0$の一般解は$$y=C_1 y_1 +C_2 y_2$$である
このときの$y_1,y_2$を同次微分方程式$L(y)=0$の基本解といいます。
この性質を使って2階線形微分方程式の同次形の一般解を求めてみましょう。
【例題(1)】$y^{\prime\prime}-5y’+6y=0$について、$y_1=e^{2x},y_2=e^{3x}$が1次独立な解であることを示し、その一般解を求めよ
ロンスキアンの【例題(1)】と途中まで全く同じ問題で、一般解を求めるところが追加された問題です。
まずは$y_1=e^{2x},y_2=e^{3x}$が$y^{\prime\prime}-5y’+6y=0$の解であるかを確認します。
[1]$y_1=e^{2x}$
$y_1=e^{2x}$より、$y’_1=2e^{2x}$,$y^{\prime\prime}_1=4e^{2x}$
これらを与式に代入します。
\begin{eqnarray} y^{\prime\prime}-5y’+6y& &=4e^{2x}-5・2e^{2x}+6・e^{2x}\\& &=4e^{2x}-10e^{2x}+6e^{2x}=0 \end{eqnarray}
[2]$y_2=e^{3x}$
$y_2=e^{3x}$より、$y’_2=3e^{3x}$,$y^{\prime\prime}_2=9e^{3x}$
これらを与式に代入します。
\begin{eqnarray} y^{\prime\prime}-5y’+6y& &=9e^{3x}-5・3e^{3x}+6・e^{3x}\\& &=9e^{3x}-15e^{3x}+6e^{3x}=0 \end{eqnarray}
[1],[2]より$y_1=e^{2x},y_2=e^{3x}$は$y^{\prime\prime}-5y’+6y=0$の解であると示せました。
ここで$y_1,y_2$が1次独立であるかをロンスキー行列式を利用して示します。ロンスキー行列式$W(y_1,y_2)$は
\begin{eqnarray} W(y_1,y_2)& &=\begin{vmatrix} y_1 & y_2\\y’_1 & y’_2 \end{vmatrix}=\begin{vmatrix} e^{2x} & e^{3x}\\2e^{2x} & 3e^{3x} \end{vmatrix}\\& &=e^{2x}・3e^{3x}-e^{3x}・2e^{2x}\\& &=e^{5x} \neq 0 \end{eqnarray}
したがってロンスキアンの性質により、$y_1,y_2$が1次独立であると示せました。
よって$y_1,y_2$が同次微分方程式$L(y)=0$の1次独立な解であることを示せたので、2階線形微分方程式の同次形の性質により、一般解は
$$y=C_1 e^{2x}+C_2 e^{3x}$$
定数係数の2階線形微分方程式の同次形
定数係数の2階線形微分方程式の同次形とは、2階線形微分方程式の同次形$\frac{d^2 y}{dx^2}+P(x)\frac{dy}{dx}+Q(x)y=0$において、$P(x)=a,Q(x)=b$(a,bは定数)と置いた形です。よって定数係数の2階線形微分方程式の同次形とは次の形の微分方程式です。
$$\frac{d^2 y}{dx^2}+a \frac{dy}{dx}+by=0$$
(a,bは実定数)
特性方程式とは
定数係数の2階線形微分方程式の同次形$\frac{d^2 y}{dx^2}+a \frac{dy}{dx}+by=0 \ (1)$の一般解を求めるために、まずは基本解を考えてみます。1階線形微分方程式の同次形$\frac{dy}{dx}+ky=0 $の解は$y=Ce^{-kx}$になることから、(1)の解は、$y=e^{tx}$という形になると予想できます。したがって$y=e^{tx},y’=te^{tx},y^{\prime\prime}=t^2 e^{tx}$を(1)に代入すると
$$t^2 e^{tx}+ate^{tx}+be^{tx}=0$$
$e^{tx} \neq 0$より両辺を$e^{tx}$で割ります。
$$t^2+at+b=0 \quad (2)$$
この式を解くことで得られるtをとることで、$y=e^{tx}$は(1)の解となります。この(2)の二次方程式を、(1)の特性方程式と言います。
特性方程式の3パターン
(1)の一般解は、特性方程式(2)の判別式$D=a^2-4b$の結果によって3パターンに分けられます。
[1]$D \gt 0$のとき(異なる2つの実数解をもつとき)、(2)の解を$t_1,t_2$とすると、(1)の一般解は
$$y=C_1 e^{t_1 x}+C_2 e^{t_2 x}$$
[2]$D=0$のとき(2重解をもつとき)、(2)の解を$t_1$(2重解)とすると、(1)の一般解は
$$y=(C_1+C_2 x)e^{t_1 x}$$
[3]$D \lt 0$のとき(虚数解をもつとき)、(2)の解を$p \pm qi$とすると、(1)の一般解は
$$y=e^{px}(C_1\cos{qx}+C_2\sin{qx})$$
定数係数の2階線形微分方程式の同次形の解き方
定数係数の2階線形微分方程式の同次形は、特性方程式を考えて3パターンのどれかに当てはめるだけで簡単に解くことができます。例題にチャレンジしてみましょう。
【例題(2)】$y^{\prime\prime}+y’-2y=0$の一般解を求めよ
まずは与式の特性方程式を考えます。特性方程式は$t^2+t-2=0$より
$$(t+2)(t-1)=0$$
$$t=1,-2$$
よって異なる2つの実数解をもつので、与式の一般解は
$$y=C_1 e^x+C_2 e^{-2x}$$
練習問題
練習問題にチャレンジしてみましょう。
(1)$y^{\prime\prime}-2y’+5y=0$について、$y_1=e^x\cos{2x},y_2=e^x\sin{2x}$が1次独立な解であることを示し、その一般解を求めよ
ロンスキアンの練習問題と途中まで全く同じ問題で、一般解を求めるところが追加された問題です。
まずは$y_1=e^{2x},y_2=e^{3x}$が$y^{\prime\prime}-2y’+5y=0$の解であるかを確認します。
[1]$y_1=e^x\cos{2x}$
$y_1=e^x\cos{2x}$より、$y’_1=e^x\cos{2x}-2e^x\sin{2x}$ ,$y^{\prime\prime}_1=-3e^x\cos{2x}-4e^x\sin{2x}$
これらを与式に代入します。
$$ y^{\prime\prime}-2y’+5y$$
$$=(-3e^x\cos{2x}-4e^x\sin{2x})-2(e^x\cos{2x}-2e^x\sin{2x})$$
$$+5(e^x\cos{2x})$$
$$=0$$
[2]$y_2=e^x\sin{2x}$
$y_2=e^x\sin{2x}$より、$y’_2=e^x\sin{2x}+2e^x\cos{2x}$,$y^{\prime\prime}_2=4e^x\cos{2x}-3e^x\sin{2x}$
これらを与式に代入します。
$$y^{\prime\prime}-2y’+5y$$
$$=(4e^x\cos{2x}-3e^x\sin{2x})-2(e^x\sin{2x}+2e^x\cos{2x})$$
$$+5(e^x\sin{2x})$$
$$=0$$
[1],[2]より$y_1=e^x\cos{2x},y_2=e^x\sin{2x}$は$y^{\prime\prime}-2y’+5y=0$の解であると示せました。
ここで$y_1,y_2$が一次独立であるかをロンスキー行列式を利用して示します。ロンスキー行列式$W(y_1,y_2)$は
$$ W(y_1,y_2)$$
$$=\begin{vmatrix} y_1 & y_2\\y’_1 & y’_2 \end{vmatrix}$$
$$= \begin{vmatrix} e^x\cos{2x} & e^x\sin{2x}\\-3e^x\cos{2x}-4e^x\sin{2x} & 4e^x\cos{2x}-3e^x\sin{2x} \end{vmatrix} $$
$$=(4e^{2x}\cos^2 {2x}-3e^{2x}\sin{2x}\cos{2x})$$
$$-(-3e^{2x}\sin{2x}\cos{2x}-4e^{2x}\sin^2 {2x})$$
$$=4e^{2x} (\sin^2 {2x}+\cos^2 {2x})$$
$$=4e^{2x}\neq 0 $$
したがってロンスキアンの性質により、$y_1,y_2$が一次独立であると示せました。
よって$y_1,y_2$が同次微分方程式$L(y)=0$の1次独立な解であることを示せたので、2階線形微分方程式の同次形の性質により、一般解は
\begin{eqnarray} y& &=C_1 e^x\cos{2x}+C_2 e^x\sin{2x}\\& &=e^x (C_1\cos{2x}+C_2\sin{2x} ) \end{eqnarray}
(2)$y^{\prime\prime}+6y’+9y=0$の一般解を求めよ
まずは与式の特性方程式を考えます。特性方程式は$t^2+6t+9=0$より
$$(t+3)^2=0$$
よって$t=-3$(2重解)です。したがって2重解をもつので、与式の一般解は
$$y=(C_1+C_2 x)e^{-3x} $$
(3)$y^{\prime\prime}-10y’+29y=0$の一般解を求めよ
まずは与式の特性方程式を考えます。特性方程式は$t^2-10t+29=0$より
\begin{eqnarray} t& &=\frac{10 \pm \sqrt{100-116}}{2}\\& &=5 \pm 2i \end{eqnarray}
よって虚数解をもつので、与式の一般解は
$$y=e^{5x}(C_1\cos{2x}+C_2\sin{2x})$$
まとめ
今回は2階線形微分方程式の同次形について解説しました。今後何度も登場する形なので、しっかり理解しておきましょう。