今回の記事ではたたみ込み(合成積)について解説していきます。
たたみ込みとは
たたみ込み(合成積)は以下のように定義されます。
$$f(t) \ast g(t)=\int_{0}^{t}f(t-u)g(u)du \quad (t \gt 0)$$
たたみ込みを利用することで、複雑な式の逆ラプラス変換をするときに容易に計算できることがあります。
たたみ込みの3つの性質
たたみ込みの性質
(1)(交換法則) $$f(t)\ast g(t)=g(t)\ast f(t)$$
(2)(分配法則) $$f(t)\ast(g(t)+h(t))=f(t)\ast g(t)+f(t)\ast h(t)$$
(3)(結合法則) $$\{f(t)\ast g(t)\}\ast h(t)=f(t)\ast \{g(t)\ast h(t)\}$$
それぞれの証明
(1)(交換法則) $$f(t)\ast g(t)=g(t)\ast f(t)$$
まず合成積の定義より
$$f(t) \ast g(t)=\int_{0}^{t}f(u)g(t-u)du \quad $$
ここで$t-u=\alpha$と置換すると、$du=-d\alpha$であり
$$=\int_{t}^{0}f(t-\alpha)g(\alpha)・(-1)d\alpha$$
$$=\int_{0}^{t}f(t-\alpha)g(\alpha)d\alpha$$
$$=\int_{0}^{t}g(\alpha) f(t-\alpha)d\alpha$$
この式は積分定数が$u$でなく$\alpha$になっているだけで、定義の式と同じ形であるので
$$=g(t)\ast f(t)$$
(2)(分配法則) $$f(t)\ast(g(t)+h(t))=f(t)\ast g(t)+f(t)\ast h(t)$$
積分の線形性により容易に証明できます。
$$f(t)\ast(g(t)+h(t))$$
$$=\int_{0}^{t}f(u)\{g(t-u)+h(t-u)\}du$$
$$=\int_{0}^{t}f(u)g(t-u)du+\int_{0}^{t}f(u)h(t-u) du$$
$$= f(t)\ast g(t)+f(t)\ast h(t) $$
(3)(結合法則) $$\{f(t)\ast g(t)\}\ast h(t)=f(t)\ast \{g(t)\ast h(t)\}$$
まず$f(t)\ast g(t)$について考えます。ここで$i(t)=f(t)\ast g(t)$とおくと
\begin{eqnarray}i(t)& &=f(t)\ast g(t)\\& &=\int_{0}^{t} f(u)g(t-u)du \end{eqnarray}
したがって
$$\{f(t)\ast g(t)\}\ast h(t)$$
$$=\int_{0}^{t}\{\int_{0}^{t} f(u)g(t-u)du \}・ h(t-u)du$$
$$=\int_{0}^{t}i(u)h(t-u)du$$
$$=i(t)\ast h(t) $$
ここで先ほどの交換法則を使うことで
$$=h(t)\ast i(t)$$
$$=f(t)\ast \{g(t)\ast h(t)\}$$
たたみ込みのラプラス変換
たたみ込みのラプラス変換はシンプルな形となってます。この性質は逆ラプラス変換の時に大活躍するので覚えておきましょう。
$$L[f(t)\ast g(t)]=L[f(t)]L[g(t)]$$
これの証明も下に示しておきます。この証明は難しいのでさらっと見るくらいで大丈夫です。
$L[f(t)\ast g(t)]=L[f(t)]L[g(t)]$
まず合成積の定義より
$$f(t) \ast g(t)=\int_{0}^{t}f(u)g(t-u)du \quad $$
したがってラプラス変換の定義の式より
\begin{eqnarray} L[f(t)g(t)] & &=\int_{0}^{\infty}\{\int_{0}^{t}f(u)g(t-u)du\}・e^{-st}dt \end{eqnarray}
ここで積分順序の交換を行います。
$$=\int_{0}^{\infty}\{\int_{u}^{\infty}f(u)g(t-u)e^{-st}dt\}du$$
ここで$t-u=\alpha$と置換すると、$dt=d\alpha$であり
$$=\int_{0}^{\infty}\{\int_{0}^{\infty}f(u)g(\alpha)e^{-s(\alpha+u)}d\alpha\}du$$
$$=\int_{0}^{\infty}f(u)e^{-su}du \int_{0}^{\infty}g(\alpha)e^{-s\alpha}d\alpha$$
$$=L[f(t)]L[g(t)]$$
練習問題
練習問題にチャレンジしてみましょう。
(1)$t^3\ast t$の計算結果を利用して$L[t^3\ast t]$を求めよ
まずは$t^3\ast t$を計算していきます。積分計算で計算しやすくするために交換法則を利用して$t\ast t^3$としておきます。よって
\begin{eqnarray}t^3\ast t& &=t\ast t^3\\& &=\int_{0}^{t}(t-u)・u^3 du\\& & =\int_{0}^{t}(tu^3-u^4)du\\& &=\left[\frac {1}{4}tu^4-\frac{1}{5}u^5\right]_0^t \\& &=\frac {1}{4}t^5-\frac{1}{5}t^5 =\frac{1}{20}t^5 \end{eqnarray}
したがって
\begin{eqnarray}L[t^3\ast t]& &=L[\frac{1}{20}t^5]\\& &=\frac{1}{20}・\frac{5!}{t^6}=\frac{6}{t^6} \end{eqnarray}
ちなみに問題文に「$t^3\ast t$の計算結果を利用して」がなければ
\begin{eqnarray}L[t^3\ast t]& &=L[t^3]・L[t]\\& &=\frac{3!}{t^4}・\frac{1!}{t^2}=\frac{6}{t^6} \end{eqnarray}
と計算するほうが楽です。
(2)$t\ast e^{2t}$を求めよ
この問題も積分計算で計算しやすくするために交換法則を利用して$e^{2t} \ast t$としておきます。よって
\begin{eqnarray}t\ast e^{2t}& &=e^{2t} \ast t\\& &=\int_{0}^{t}e^{2(t-u)}・u \ du\\& &= \left[-\frac{1}{2}ue^{2t-2u} \right]_0^t +\int_{0}^{t}\frac{1}{2}e^{2t-2u} \ du\\& &=-\frac{1}{2}t+ \left[-\frac{1}{4}e^{2t-2u} \ du \right]_0^t\\& &= -\frac{1}{2}t-\frac{1}{4}+\frac{1}{4}e^{2t} \end{eqnarray}
途中の計算には部分積分を使いました。
(3)$\sin{t}\ast \cos{t}$を求めよ
\begin{eqnarray} \sin{t}\ast \cos{t}& &= \int_{0}^{t}\sin{(t-u)}\cos{u} \ du\\& &=\frac{1}{2} \int_{0}^{t}\{\sin{t}+\sin{(t-2u)}\} \ du\\& &=\frac{1}{2}\left[u\sin{t}+\frac{1}{2}\cos{(t-2u)} \right]_0^t \\& &=\frac{1}{2}\{t\sin{t}+\frac{1}{2}\cos{(-t)}-\frac{1}{2}cos{t}\}\\& &=\frac{1}{2}t\sin{t} \end{eqnarray}
積分の計算過程がわからなかった人は以下の記事の(9)の問題に似たような問題があるので参照してください。

(4)$e^{2t} \ast \sin{t}$を求めよ
$$e^{2t} \ast \sin{t}=\int_{0}^{t}e^{2(t-u)}・\sin{u} \ du$$
(指数関数) $\times$ (三角関数)の積分は特殊な方法で行います。ここで$I=\int_{0}^{t}e^{2(t-u)}・\sin{u} \ du$とおくと
\begin{eqnarray} I& &=\int_{0}^{t}e^{2(t-u)}・\sin{u} \ du\\& &=\left[-e^{2(t-u)}\cos{u} \right]_0^t -2\int_{0}^{t}e^{2(t-u)}\cos{u} \ du\\& &=-\cos{t}+e^{2t}-2\left[-e^{2(t-u)}\sin{u} \right]_0^t\\& & \ -4 \int_{0}^{t}e^{2(t-u)}\sin{u} \ du \\& &=-\cos{t}+e^{2t}-2\sin{t}-4I \end{eqnarray}
よって
$$I=\frac{1}{5}(e^{2t}-\cos{t}-2\sin{t})$$
したがって
$$e^{2t} \ast \sin{t}=\frac{1}{5}(e^{2t}-\cos{t}-2\sin{t})$$
積分の計算過程がわからなかった人は以下の記事の(10)の問題に似たような問題があるので参照してください。

まとめ
たたみ込みは逆ラプラス変換の時に多用する重要事項です。何回も演習して完璧にしておきましょう。